2024.05.24
#物流作業 #物流用語棚卸とは、企業が保有している在庫の価値や数量を確認し、
正確なデータを把握するためのプロセスを指します。
棚卸しは、在庫管理するうえで、必ず行った方がよい作業です。
棚卸を行うことで、在庫管理精度の向上や商品の損失、在庫の過不足を発見、
防止することができます。
物流会社はもちろん、モノを売る会社で「棚卸し」という言葉をよく耳にすると思います。
よく聞く言葉だけど、棚卸ってどういった作業なのか、どういった手順でやるのか。
また、なぜ棚卸しをしなければいけないのかを皆様はご存知でしょうか。
この棚卸し作業が疎かになると、無駄にコストをかけてしまったりと
会社にとって不利益な状態になってしまいます。
会社にとって不利益な状態を起こさないように、
今回は棚卸しの重要性や正しい棚卸しのやり方についてご紹介します。
目次
棚卸しとは
棚卸しとは、現場にある商品や製品の数量がデータ上と一致しているかを調査する作業です。
ここで手を抜いてしまうと、在庫差異が発生してしまいます。
棚卸しは在庫を数えるだけというとても単純作業ですが、必ずミスが起こります。
現場で在庫(商品)を数えて、それらをパソコンなどで集計するという流れが一般ですが、
それぞれの場所で何かしらのミスが起きます。
棚卸の目的とは
棚卸しを行う目的とは、まずは在庫の確認をすることです。
在庫を確認することで、正しい在庫数と売上の原価の計算が正しく行うことができます。
また、棚卸しには帳簿上の在庫と実在庫との差異を確認するという目的もあります。
ここでもし、在庫数量に差異がある場合は帳簿を修正しなければなりません。
どんなに気をつけていても人が作業をしている以上入力ミスや記入漏れが出てくるので、棚卸しをすることで在庫数の確認をしながら差異を見つけ、数量を合わせることができます。
そして棚卸しをすることでどんな商品が残っているのか把握ができます。
仕入れた商品が人気がなかったなどの理由で売れ残る「不良在庫」や賞味期限をもうすぐ迎えるなどの理由や、パッケージ損傷などで売れる見込みのない「滞留在庫」などがあります。
残った在庫の時期や理由を知ることで、今後の仕入れに活かすことができるため、在庫を小さく食い止めることにつながります。
棚卸を行う意味
棚卸を行う意味は多岐にわたります。まず、実際の在庫と帳簿上の記録に差異がないかを確認することが重要です。
この差異が棚卸差異と呼ばれ、商品の紛失や破損などにより発生する場合があります。また、仕入れた商品の時価が取得価格より低下していないかも確認が必要です。
売れ残っている商品は時価が下がり、決算書に適正に評価する必要があります。
さらに、在庫数量が適正かどうかも重要です。
在庫が過剰であれば資金繰りの悪化や商品の滞留、期限切れによる損失が発生しますが、最低限の在庫を確保していないと販売機会の損失につながります。
これらの理由から、棚卸を行うことで適正な在庫管理や資産評価を行い、企業の適切な経営判断を支援します。
また、棚卸は会計でも重要な作業となります。
正確な在庫数を把握することは、財務諸表の正確性や企業の健全性に直結します。
棚卸を行う際には、帳簿上の在庫と実地の在庫が一致するかを確認することが不可欠です。
在庫のミスは、会計上の記録に大きな影響を与える可能性があります。
特に、商品の破損や紛失、価値の変動などが原因で帳簿と実地の在庫数が異なる場合、財務諸表の精度に影響を及ぼします。
そのため、棚卸作業を丁寧に、かつ正確に行うことが重要です。
定期的な棚卸を行い、正確な在庫管理を確保することで、会計上のミスや誤解を防ぎ、企業の財務健全性を維持することができます。
棚卸の注意点とは
棚卸しは、ただ単に数量を確認するだけではなく、在庫商品の状態(品質)をチェックすることも大事な棚卸業務のポイントです。
劣化や破損などの異常がないかしっかり確認し、異常が見つかった場合は報告するようにしましょう。
商品に異常が見つかった場合は販売できないので企業にとって「損益」になってしまうからです。また、棚卸しのために業務を一時ストップしないといけない場合もありますし、人の手もかかります。
このため、実施するには計画を立てて実施のタイミングを見て最低限の人手と労力に抑えなければなりません。
棚卸の課題や注意点には、正確な在庫数の確保が挙げられます。
在庫が実際の数と一致しないと、注文の遅延や在庫の過不足が生じ、顧客満足度や収益に影響を及ぼします。
また、棚卸の際には時間と人的リソースが必要であり、業務の中断やコスト増加の要因となります。
さらに、正確なデータ収集と処理が必要であり、手作業によるヒューマンエラーのリスクがつきまといます。
これらの課題を克服するには、効率的な在庫管理システムの導入やトレーニングの強化が不可欠です。
棚卸の時期
棚卸の時期は、一般的に年度期末に行われます。
これは、年度末の決算報告書に正確な記録をする必要があるためです。
例えば、3月決算の企業は3月末に棚卸しを行います。
棚卸しの頻度は少なくとも年に1回必要ですが、企業によっては半年に1回や四半期に1回行うこともあります。
棚卸しには、「実地棚卸」と「帳簿棚卸」の2つの方法があります。
実地棚卸は在庫を目視で確認する方法で、物理的な在庫を数量と品質ともに確認します。
帳簿棚卸は、帳簿上で棚卸を行い、主に在庫管理表や在庫管理システム上で行います。
どちらの方法も実施する企業がほとんどで、正確な決算書を作成するためには両方の方法を用いることが重要です。
棚卸の作業方法
棚卸の作業方法は、主に「実地棚卸」と「帳簿棚卸」の2つに分けられます。
実地棚卸では、在庫を目視で確認し、物理的な在庫数量と品質を確認します。
これに対して、帳簿棚卸は帳簿上で在庫を確認し、在庫管理表や在庫管理システム上で行います。
実地棚卸は目視による確認が行われるため、在庫の正確な数量だけでなく品質や状態も把握できますが、作業工数がかかり、ミスの可能性があります。
一方、帳簿棚卸はシステム上での確認が行われるため、作業工数を削減できますが、記録ミスが起こる可能性があります。
正確な決算書を作成するためには、両方の方法を組み合わせて行うことが一般的です。
棚卸によって経営状況を把握する
棚卸によって経営状況を把握することは、ビジネスにおいて非常に重要です。
棚卸では、在庫の実態と帳簿上の記録を照らし合わせ、差異を確認します。
これにより、商品の紛失や破損などの損失を把握し、棚卸減耗損などの費用を計上します。
また、在庫の適正管理や商品の時価評価も行われます。
これらの作業を通じて、企業は経営状況を客観的に把握し、資金繰りの改善や効率的な在庫管理を行うための戦略を構築することが可能となります。
棚卸で起こりがちなトラブル
棚卸で起こりがちなトラブルには、いくつかのポイントがあります。
まず、帳簿と実地の在庫数が一致しないことが挙げられます。
これは、商品の紛失や盗難、破損などが原因で生じる場合があります。
また、在庫の時価評価に関する問題も頻繁に発生します。
季節商品や流行に左右される商品の価値が低下した場合、正確な評価が難しくなります。
さらに、在庫の適正管理に関するトラブルもあります。
過剰在庫や滞留在庫が資金繰りを圧迫し、在庫の資産価値を下げる可能性があります。
これらのトラブルは企業にとって重大な影響を与えるため、定期的な棚卸と注意深い管理が必要です。
棚卸しの種類とそれぞれのメリットとデメリット
物流の棚卸には大きく分けて2種類あります
「循環棚卸」と「一斉棚卸」があり、こちらではそれぞれの棚卸方法と
メリット・デメリットをご説明いたします。
①循環棚卸
循環棚卸とは、在庫の場所や種類、日程に分けて順に棚卸を行う方法です。
これは棚卸作業する棚や場所のみの作業を止めて実施します。
コンビニなどの入出庫のたびにカウントするやり方が代表的な例です。
■循環棚卸しのメリット
棚卸しする場所と決めて行うため、作業を止めずに棚卸しを行えます。
棚卸にあたるスタッフも少人数で行えるのも利点です。
■循環棚卸しのデメリット
業務を止めずに棚卸を行うため、手作業でカウントを行うとカウントし始めたところと最後にカウントしたところで誤差が生じる可能性があります。
正確なカウントを行うためにはデータ管理のシステムを導入する必要があります。
②一斉棚卸
名前の通り一斉に棚卸を行う方法で、完全に業務を止めて棚卸し作業を行います。
業務を止める必要があるため、半年に1回や年に1回といったサイクルで行うため、商品の種類や品数が多い場合は在庫をカウントするのに労力と時間を要します。
■一斉棚卸のメリット
業務を止めて棚卸しを行うため、棚卸し中に入出庫がないので精度が高くなります。もし、在庫の差異が発生しても対処がしやすいのも利点です。
計画的に行うために人員の確保がしやすいのが特徴です。
■一斉棚卸のデメリット
業務を完全に止めて棚卸しを行うため、短時間で終える必要があります。
商品の数が多い場合、時間がかかってしまうので作業を行うスタッフの負担が大きくなるのがデメリットとなります。
棚卸しの重要性とよく起きるミスとは?
ここで、現場で数えるときに起こりやすいミスの例を挙げてみましょう。
①カウント漏れ
在庫の数え忘れです。
棚の奥に在庫が隠れていたり、普段置かない場所に在庫を置いたときに起こります。
②カウントミス
数量の数え間違いです。
数量が多くて分かりずらい、箱や袋などで梱包されているものを取り出さずに、
表記されている数を転記する、単純作業が続くので集中力が切れたりするときに起こります。
③転記ミス
在庫の品目番号や場所の記載を現場の表示などからうつすときに起こります。
④誤品カウント
似ている品番で起こります。
例えば、金具など左右がある場合、小さな切欠きがあるものとないもの、
素材違いなどの紛らわしい品番同士で起こります。
このように小さなミスが大きなミスに繋がることになります。
棚卸し時に、カウント漏れがあったり、ミスがあると
正しい在庫の数を把握する事が出来ないので、
今どの商品が売れていて、どの商品の在庫が足りていないのか正しい情報が
分からなくなってしまいます。
棚卸しは、会社の現状を見極めるために大事な作業になるのです。
棚卸しの手順
正しい棚卸しを行うには、ルールを作り、考えた方を統一し、手順を守ることが重要となります。
そのためにはまず事前に段取りをしておくことが重要です。
棚卸し成功のカギは、事前準備にかかっています。
棚卸しは一人でやるのではなく、複数でやることが一般的なので、そのことを念頭に置いて行いましょう。
考え方を統一し、手順を必ず守ることが正しい棚卸しを行う上での最大のポイントとなります。
ここでは、棚卸の手順についてご紹介していきます。
①棚卸しをする場所の在庫の動きは完全に止める
棚卸しを行う際に入出庫があるとしっかりした数を数えられない上、商品が入り乱れて混ざってしまう危険があります。
そこで、棚卸しをする際は在庫の入出庫を止めて集中して行えるように場所を整える必要があります。
②整理整頓を行う
棚卸しを行う場所が汚れていたり、ものが散乱しているとやりにくいだけではなく、商品が紛れてなくなってしまう危険がありますよね。
整理整頓を行ってから棚卸しすることで、商品の紛失などを防ぎます。
③道具を統一する
使う道具を揃えることも大切です。
例えば報告書が1人1人違うと、見る人は見にくく時間がかかってしまいますよね。
また、見間違いを起こしてしまう恐れもあります。
そのほかにも、道具を揃えることによって、違う動きをしてる人がいれば気付きやすいという利点もあります。
そうすると、やり方がわからなくて止まっている人、間違ったやり方をしている人がすぐにわかり、周りの人がすぐに声を掛けることができます。
④手順を決める
棚卸しは1人で行うのではなく、複数人で行うことが一般的です。
なので、作業に取り掛かる順番をあらかじめ決めておかないと、同じ棚を違う人がもう1度したり、どの商品が棚卸しが終わっているのかわからなくなってしまいます。
なので、棚卸しを行う前に、誰がどこをどの順番で担当するのか手順を決めておきましょう。
⑤在庫の数え方を統一する
商品によって箱詰めされていたり、1つ1つバラで管理されていたりしますよね。
Aさんは6個1パックの商品を6と数えて、Bさんは6個1パックの商品を1と数える。
上記のように商品によって数の数え方を1人1人が理解していないと正確な数がわからなくなってしまいます。
そうすると、数を数えている意味がなくなってしまいます。
なので、まず初めに全員の認識を揃えるという作業が重要になってきます。
⑥取り出して数える
数えるときに重要なポイントは「取り出す」ということです。
取り出さずに数えていると、どこまで数えたかわからなくなり、同じ商品をもう1度数えてしまったり、数え忘れてしまったりと、数え間違えてしまう可能性がか高まります。
なので、必ず数えたものと数えていないものが明確にわかるように数えることが大切です。
⑦品質チェックを行う
商品の数を数える際に、必ず商品の品質チェックも行いましょう。
もし、数えた商品でも品質に問題があれば出荷できませんよね。
品質の悪い商品は出荷できないので、1と数えるわけにはいきません。
なので、品質チェックを行い、正規の出荷ができる商品だけを数える必要があります。
棚卸資産の評価とは
棚卸資産の評価とは、企業が特定期間内に所有する在庫や物品の価値を正確に把握するプロセスです。
これは、会計上の重要な手続きであり、企業の財務状況や業績を正確に把握する上で欠かせません。
通常、棚卸資産の評価は会計年度末や特定の期間終了時に行われます。
このプロセスでは、在庫や物品の数量とその評価額を確認し、適切な会計処理を行います。
正確な棚卸資産の評価は、企業の資産価値や利益率を正確に把握し、経営判断の基礎となります。
また、適切な評価は株主や投資家、財務機関などの利害関係者に対しても信頼性のある情報を提供します。
棚卸資産回転期間
棚卸資産回転期間は、企業の売上高に対する棚卸資産の割合を示す重要な指標です。
この期間は、所有している在庫が販売されるまでの時間を表し、経営効率や財務健全性を示す指標として利用されます。
通常、棚卸資産回転期間が短いほど、在庫が効率的に回転していることを示し、企業が効率的に収益を上げていることを意味します。
逆に、棚卸資産回転期間が長い場合、在庫が滞留しており、資金が適切に活用されていない可能性があります。
このため、企業は棚卸資産回転期間を短縮するための努力を行い、在庫管理の最適化や販売促進策の実施などの手段を検討します。
結果として、棚卸資産回転期間の改善は企業の収益性や競争力の向上につながります。
棚卸効率化にはシステム導入やアウトソーシングの検討も
棚卸効率化にはシステム導入やアウトソーシングの検討も重要です。
在庫管理システムを導入することで、棚卸しの作業を自動化し、作業工数や人的ミスを削減できます。
また、アウトソーシングを検討することで、専門のプロに棚卸し作業を委託することができます。
外部の専門業者は高度な技術や経験を持っており、効率的かつ正確に棚卸しを行うことができます。
これにより、企業は自社リソースを他の業務に集中させることができ、棚卸しの負担を軽減することができます。
結果として、正確な在庫管理や効率的な業務遂行が実現し、企業の業績向上につながるでしょう。
まとめ
棚卸しをする上で大切なことは、
・やりかたを統一する
・道具をそろえる
・取り出して数える
・見えるようにする
今、在庫の管理にお悩みの方は、ぜひ役立ててみて下さい!
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